妻「浮気したら……呪うからね」夫「す、するわけないだろ!」

1 : 2021/04/12(月) 22:01:49.356 ID:LzEgu3pY0
妻「はい、お弁当……」

夫「ありがとう」

妻「浮気したら……呪うからね」

夫「え」

妻「私自身を……。呪って呪って呪って……塵芥(ちりあくた)も残さない……」

夫「す、するわけないだろ! 自分を呪っちゃダメだよ! 行ってきまーす!」

妻「行ってらっしゃい……うふふふ……」

2 : 2021/04/12(月) 22:02:55.764 ID:SozBPiIu0
夫(男なら浮気じゃないよな…?)
3 : 2021/04/12(月) 22:05:07.825 ID:y40RwMIWr
指輪にお互いの誕生日時掘ろう
4 : 2021/04/12(月) 22:05:59.980 ID:LzEgu3pY0
妻「さぁて、お洗濯しないとねえ……」

妻「洗濯機にお洋服を入れまして……」

妻「自作の洗剤を入れまして……」パッパッ

グツグツ… ボコボコ…

妻「ぐ~るぐる、ぐ~るぐる、ぐ~るぐる、ぐ~るぐる、ぐ~るぐる、ぐ~るぐる……」

妻「この渦……いつまでも見てられる……」

妻「うん……キレイになった」ニッコリ

5 : 2021/04/12(月) 22:08:11.803 ID:LzEgu3pY0
買い物に出かける。

妻「あら」

黒猫「ニャーン」タタタッ

妻「黒猫が横切った……幸先いい……うふふふ」

主婦「あら奥さん、おはよう。相変わらず全身黒ずくめね」

妻「黒が……一番落ちつくから」

主婦「たしかにしっとりしててよく似合ってるわ」

妻「うふふふ……ありがとう」

6 : 2021/04/12(月) 22:11:17.815 ID:LzEgu3pY0
店主「いらっしゃぁい!」

妻「こんにちは……」

店主「今日はいい牛肉仕入れてるよ!」

妻「じゃあ牛の死体を……200グラム」

妻「それと豚の死体を……400グラム」

店主「毎度ぉ!」

店主(この注文の仕方、最初は面食らったけど今ではすっかり慣れちまった)

7 : 2021/04/12(月) 22:14:28.412 ID:LzEgu3pY0
―会社―

同僚「お、愛妻弁当か」

夫「ああ」

同僚「うおお……相変わらず真っ黒な弁当箱だな」

後輩女「ホントですね。お葬式の棺みたい!」

夫「ちなみに開けると……」パカッ

モワァァァァ…

なにやら煙が出てくる。

同僚「なんだこれ!?」

夫「演出としてドライアイスでも仕込んでくれてるんだろう」

同僚「凝りすぎだろ!」

8 : 2021/04/12(月) 22:15:35.414 ID:0Bu4efij0
メンヘラこわひ
9 : 2021/04/12(月) 22:17:21.400 ID:LzEgu3pY0
同僚「で、肝心の中身は――」

ドヨーン…

夫「この通り」

同僚「く、黒い……!」

後輩女「やだ~! 超ブラックじゃないですか~! 光まで吸収しそう!」

夫「この世にここまで黒い弁当も他にないだろうな」

10 : 2021/04/12(月) 22:19:02.972 ID:pAbaokdsr
光を吸収はすごい
11 : 2021/04/12(月) 22:20:43.685 ID:LzEgu3pY0
同僚「……こんなの食べて大丈夫なのか?」

後輩女「絶対体に悪いですよ! やめた方がいいです!」

夫「いや、黒いだけで味はいいんだよ」モグッ

夫「体もさ、健康診断は全ていい数値だったし」

同僚「一口いいか?」

夫「どうぞ」

同僚「……ホントだ、うまい! どういう仕組みなんだよ!?」

夫「きっと研究に研究を重ねた結果だろうな……」

同僚「遠い目をしてしみじみ語るなよ」

12 : 2021/04/12(月) 22:23:37.508 ID:LzEgu3pY0
同僚「奥さんとは一度会ったけど……相変わらず黒ずくめのコーディネイトなのか?」

夫「ああ、黒いよ」

同僚「前々から思ってたんだけど……お前の奥さん、ひょっとして“魔女”なんじゃねえの?」

夫「魔女?」

同僚「奥さんとはたしか大学で知り合ったんだろ?」

夫「ああ、二人とも≪魔法サークル≫に入っててさ」

後輩女「なんですか、それぇ?」

夫「中世近世における魔女だとか魔法だとかを研究するサークルだよ」

後輩女「コワ~イ。生贄の儀式とかやってたんですか?」

夫「いやいや、そんな怪しいサークルじゃないよ。歴史研究サークルみたいなもんだったし」

13 : 2021/04/12(月) 22:26:07.510 ID:LzEgu3pY0
同僚「だけど奥さん、その頃から結構変わってたんだろ?」

夫「変わってるというか……今みたいな感じではあったよ」

同僚「ほらぁ、やっぱり魔女なんだよ!」

後輩女「絶対そうですよ! 奥様は魔女ってやつです!」

夫「そんなことないってー」

…………

……

14 : 2021/04/12(月) 22:30:15.219 ID:LzEgu3pY0
―自宅―

夫「ただいま」

妻「お帰りなさい……今お料理してる。いい材料が手に入ったから……」

グツグツ… ボコボコ… ドロドロ…

鍋に紫色の汁が出来上がっている。

妻「はい……どうぞ」ゴポ…

夫「い、いただきます」グビッ

夫「うまい!」

夫(こんな色なのにどうしてうまいんだろう……謎だ)

15 : 2021/04/12(月) 22:33:17.188 ID:LzEgu3pY0
夫「んん……」コキッ

妻「どうしたの?」

夫「首がこって……今日はずっとパソコンに向かってたから」

妻「じゃあ……首絞めてあげる」

夫「え」

ギュッ…

甘く首を絞める。

妻「どう……?」ギュッギュッギュッ

夫「う……ぐ……き、気持ちいいっ!」

妻「もっともっと……首の筋肉をこの五指で……」ギュギュギュッ

夫「もっと絞めてぇぇぇ!」

16 : 2021/04/12(月) 22:34:58.665 ID:pAbaokdsr
旦那様はM
17 : 2021/04/12(月) 22:36:20.060 ID:bGxTg0eya
バランスが取れている
18 : 2021/04/12(月) 22:37:12.083 ID:LzEgu3pY0
TV『お父さん、あたし絶対有名になるからね!』

TV『頑張れ! 応援してるからな!』

妻「ぐふぅぅ……泣ける」

夫(あーあ、ボロ泣きしてる)

夫(妻はいつも黒い服を着て、毒々しい色の料理を作り、雰囲気も異様だけど……)

夫(俺にとってはとても素晴らしい妻だ)

夫(絶対魔女なんかじゃない……)

19 : 2021/04/12(月) 22:40:12.933 ID:LzEgu3pY0
―会社―

課長「ちょっと来て」

後輩女「はーい」

課長「なんだねこれは? ひどい出来栄えじゃないか」

後輩女「え、ですが、ちゃんと課長のいうとおりに……」

課長「どこがだね! ええ? ミスを人のせいにしちゃいかんよ!」

後輩女「でも……」

夫「…………」

20 : 2021/04/12(月) 22:43:24.929 ID:LzEgu3pY0
夫「課長。彼女はたしかに課長のいうとおりやりましたよ」

課長「え?」

夫「ほら、課長のメールも残ってます。こっちにも送られてきてたんで」

課長「あ……!」

課長「す、すまなかった。私の指示がおかしかったようだ」

後輩女「いえ……」

後輩女「ありがとうございました! 助かりましたっ!」

夫「いやいや、悪いのは課長だったんだから」

21 : 2021/04/12(月) 22:46:14.212 ID:LzEgu3pY0
―町―

妻(今日の買い物、終わり……。いつも通らない道を通ろうかな……)

妻(幽霊に出会えたりして……)

妻「あら?」

不良「ちょっと金貸してくれよ」

中学生「も、持ってません……」

不良「じゃあ、ポケットに入ってるもん全部出せよ! 出さねえとパンチ入れっぞ!」

妻「…………」

22 : 2021/04/12(月) 22:49:13.630 ID:LzEgu3pY0
妻「あなた……」

不良「あ?」

妻「お金なら……あるけど」

不良「お、マジかよ? 恵んでくれよ」

妻「ただし……全部1円玉だけど」ジャラッ

不良「え……」

妻「これを……こうしてストッキングに入れると……」ジャラジャラ…

不良「ちょ、ちょっと……待っ……」

23 : 2021/04/12(月) 22:52:18.637 ID:LzEgu3pY0
妻「できた」

ヒュンッ! ヒュンヒュンッ!

まるでヌンチャクのように振り回す。

妻「恵んであげようか?」ヒュヒュヒュヒュヒュッ

不良「ひっ……!」

不良「た、助けてくれえっ!」タタタッ

妻「……大丈夫だった?」

中学生「あっ、ありがとうございます!」

妻「うふふ……気をつけて帰ってね」

24 : 2021/04/12(月) 22:54:21.340 ID:+dN3abfZM
きになる
25 : 2021/04/12(月) 22:55:29.610 ID:LzEgu3pY0
―自宅―

妻「あら……今日はご機嫌ね」

夫「分かる?」

妻「なぜ機嫌がいいのか……教えてもらえる?」

夫「後輩の女の子が理不尽に怒られてるところを助けたんだ」

妻「まあ……それはとてもいいことね」

夫「君こそ機嫌よさそうじゃないか」

妻「分かる? 私も……不良に絡まれてる男の子を助けたの」

妻「あの逃げていく不良の目……恐怖にまみれてたわ」

夫「いいことすると気持ちがいいね!」

妻「うん……。うふふふふ……」

26 : 2021/04/12(月) 22:56:34.128 ID:pAbaokdsr
いい夫婦じゃないか
27 : 2021/04/12(月) 22:58:42.366 ID:LzEgu3pY0
―会社―

後輩女「あれ? なんでこうなっちゃうのぉ? 分からない……!」モタモタ

夫「どうしたの?」

後輩女「データ入力やってたら、変な画面になっちゃいましてぇ……」

夫「ああ、これはきっとここをクリックしちゃったんだな」

夫「こうすれば……元通り!」カタカタッ

後輩女「ありがとうございます!」

夫「エンター押す時はちょっと強めに! ……なーんて」カタカタッターン

後輩女「やだ、先輩ったら!」

28 : 2021/04/12(月) 23:01:18.528 ID:LzEgu3pY0
後輩女「あたしったらいつもこうなんです」

後輩女「この前の課長との件も、あたしの作業が遅いから、ああなった部分もありますし……」

後輩女「事務職として雇われたのにパソコン苦手じゃ、話にならないですよね……」

夫「…………」

夫「よかったら、たまにパソコンを教えようか?」

後輩女「えっ、いいんですか!?」

夫「うん、悩んでる後輩を放ってはおけないしね」

後輩女「ありがとうございますぅ!」

29 : 2021/04/12(月) 23:05:05.607 ID:LzEgu3pY0
―自宅―

夫「ただいまー」

妻「お帰りなさい……」

妻「このところ……帰りが遅いけどどうしたの?」

夫「ああ、後輩の女の子がパソコンが苦手だって悩んでてね。ちょっと会社で教えてるんだ」

妻「そう……浮気じゃないよね?」

夫「まさか。浮気なわけあるもんか」

妻「なら……いいけど」

30 : 2021/04/12(月) 23:07:32.537 ID:LzEgu3pY0
夫「お風呂沸いてる?」

妻「ええ、今日は自作の入浴剤を入れてみたの……」

風呂に向かうと――

ドヨーン…

浴槽の湯は毒々しい紫色に染まっていた。

夫「実に……君らしいお風呂だね」

妻「うふふふふ……呪われし湯が五臓六腑を癒やしてくれるはず……」

31 : 2021/04/12(月) 23:10:34.183 ID:LzEgu3pY0
―会社―

夫「…………」

同僚「おーい」

夫「…………」

同僚「おーい!」

夫「な、なんだよ。大声で。普通に呼びかけてくれよ」

同僚「なにいってんだ。普通に呼びかけても反応しなかったじゃないか」

夫「あ、そうだったのか。……ごめん」

同僚「大丈夫かよ」

32 : 2021/04/12(月) 23:13:30.810 ID:LzEgu3pY0
同僚「なんかこのところ顔色よくないし、疲れが溜まってるんじゃないか?」

夫「そ、そうかな」

後輩女「そうですよ。一度お医者さんに診てもらった方がいいです!」

同僚「そうそう、それがいいって!」

夫「やだなぁ、大げさだよ。健康診断は問題なかったし」

同僚「いや、一度行った方がいいよ。自覚症状あるんならなおさらだ」

夫「うん……どこかで病院行ってみるか」

同僚「だったらいい病院紹介してやるよ。まだ若いけど、腕はいいってお医者をさ」

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