個人消費持ち直し影響　10～12月期GDP年率12.7％増

内閣府が15日発表した2020年10～12月期の国内総生産（GDP、季節調整値）の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比3・0％増、この状態が1年続いた場合の年率換算では12・7％増で2四半期連続のプラスとなった。新型コロナウイルスの感染が一時的に落ち着き、経済対策による下支えもあって個人消費が持ち直したことや、アジア向けの輸出が好調だったことが寄与した。

　20年の実質成長率の速報値も発表され、戦後2番目に悪い4・8％減だった。コロナ禍の影響を受け、リーマン・ショック後の09年（5・7％減）以来、11年ぶりに通年でマイナス成長となった。

　20年はコロナ禍に伴う緊急事態宣言の影響で、4～6月期の実質成長率（年率）が戦後最悪の29・3％減に落ち込んだ。その反動もあり、7～9月期は22・7％増と急伸し10～12月期もプラス成長を維持したが、コロナ禍前の経済水準を回復するには至らなかった。

　20年10～12月期のGDPの内訳を見ると、約6割を占める個人消費が2・2％増。夏場の感染拡大が一服して感染ペースが鈍化し、政府の観光支援事業「GoToトラベル」の対象に東京発着分も追加されるなど、それまで落ち込みが大きかった外食や宿泊などのサービス需要が持ち直した。11月以降は感染拡大の「第3波」に伴い、サービス需要は再び減退したものの、自動車や家電などの消費は堅調だった。

　低迷が続いていた設備投資は4・5％増で、3四半期ぶりに増加に転じた。コロナ禍による先行き不透明感から一時中断していた設備投資計画の再開が進み、デジタル化や機械関連の投資で持ち直しが広がった。公共投資は政府予算の執行が進んだことで1・3％増。住宅投資も0・1％増で2四半期ぶりに増加した。

　輸出は11・1％増で、2四半期連続の増加。感染状況が落ち着いている中国向けが好調で、自動車部品や情報通信機器などの機械類の輸出が順調に増加した。輸入は国内需要の持ち直しに伴い4・1％増。輸出から輸入を差し引いた外需寄与度は1・0％増だった。

　物価変動を反映し、生活実感に近いとされる名目GDP成長率は2・5％増、年率10・5％増となり、2四半期連続で増加した。

　一方、21年1～3月期については、感染再拡大による緊急事態宣言が再発令され、個人消費や設備投資が落ち込む見通しで、20年4～6月期以来のマイナス成長に陥るとみられる。【村尾哲】

毎日新聞2021年2月15日 11時03分(最終更新 2月15日 11時03分)
https://mainichi.jp/articles/20210215/k00/00m/020/036000c