トランプさん「NY市長選でマンダニが勝てば州兵を派遣する。奴はアフリカ出身で共産主義者でムスリムだ。当然の処置だろ」

選挙戦のトップを走るのは民主党のゾーラン・マムダニ候補で、クイニピアック大学の最新世論調査で43%の支持を集めた。マンダニはアフリカ中部ウガンダ出身でインド系のムスリム、しかも「民主社会主義者」を自称する。

主な公約は市内バスの無料化、低所得層の賃料凍結、全ての子どもの無償保育などで、そのための富裕層増税も打ち出している。

トランプ政権は「共産主義者が勝てば州兵を派遣する」とさえ威嚇するが、そこには経済政策の違いだけでなくガザ侵攻の影もある。

格差是正と富裕層課税を主張するマンダニは、インフレと生活苦に直面する多くの市民から支持を集める一方、対立候補などから「左派ポピュリスト」と呼ばれ、富裕層のなかには選挙結果次第でニューヨークを離れると公言する者もいる。

ただし、マンダニが選挙戦をリードする理由は、格差是正の主張だけではないとみられる。

マンダニは米国の政治家としては数少ないパレスチナ支持者（ハマス支持ではない）で、これはムスリム、リベラル・中道派だけでなく多くのユダヤ人もひきつけている。

米国の巨大ユダヤ人団体の多くはイスラエルのガザ侵攻を支持するが、一般のユダヤ人とりわけ若い世代にはこれに批判的な人も多い。

民間調査会社ゼニス・リサーチの7月の調査によると、ユダヤ系有権者の支持でマンダニは他の候補を17ポイント上回る。

これもやはりトランプ政権にとって目障りな話だろう。

ニューヨークでは20年以上にわたって市長職を民主党系が占めてきた。これを反映してトランプ政権による不法移民対策やイスラエル支援などへの抗議デモも頻繁に発生している。

このうえ民主党のなかでも異色のマンダニが当選すれば、トランプ政権との対決がさらに鮮明になることはほぼ間違いないだろう。