子連れ女って「私は中出しセックスしました」ってアピールしてるようなもんなんだけど、恥ずかしいと思わないのかな

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口紅・良妻・恋愛…辞書が見直す解釈簡単でない言葉も

【女】とは、【男】とは――。時代を反映する国語辞典に、変化の波が押し寄せている。ジェンダーにまつわる言葉の解釈が見直されているのだ。それは、辞書の世界にとどまらない。
オンラインの画面に、厚さ3センチほどの紙の束が映し出された。「ジェンダー関連で、見直しを検討した言葉です」。三省堂の山本康一・辞書出版部長が取材に答えた。
同社の「新明解国語辞典」は2020年11月、第8版を発売した。改訂は9年ぶり。今回、紙の束に書いた約1千項目のうち、半数の言葉の解釈を改めた。
国内で「ジェンダー平等」をめざす機運が高まり、LGBTQ（性的少数者）への理解を促す取り組みも広がった――。第7版の刊行後、編集者たちは言葉の使われ方を調べるなか、こう感じた。ジェンダーに関する語釈を集中的に見直すきっかけになった。
例えば【口紅】。第7版は「（女性の化粧品で）くちびるに塗る紅」とあった。第8版は「女性の」をなくし、「（化粧品などで）くちびるに塗る紅」に。【手離れ】は「いちいち母親がついていなくてもいい程度に幼児が育つこと」とあったが、「母親」を「親」に改めた。
編集者の吉村三惠子さんによると、育児や家事、化粧といった分野で、主語が女性のものが多かった。「歴史の中で固定化されてきた、性的役割分業やイメージ」があったという。
一方で、今では偏っていると思えても、簡単に解釈を直せない言葉もある。
「世代の異なる編集委員で葛藤や対立」
【男】には生物上の語釈のほか、特質として「積極的な行動性を持つ」などと記述。【女】も同様に、「心根がやさしく」「包容力を持つ」と書いている。編集部の荻野真友子さんは「『男の中の男』『女らしい』などの意味を理解するために必要な語釈」と説明する。
今回はその特質の部分に、「伝統的・文化的価値観から評価される」と加えた。「（夫の社会活動をささえ、家庭を守る）いい妻」とある【良妻】にも、「封建的・家父長制的な価値観の中で、特に評価され、用いられた」と追記した。
辞書は、過去の価値観から生まれた言葉も載せる必要がある。近代文学を読むときなどに必要になるからだ。「どういう背景で使われたか、今は使われているのか、いないのか。できるだけ書き分けようと努めた」と山本部長は言う。
異性愛が前提だった旧版に比べ、同性カップルらへの配慮も特徴だ。【恋愛】は「特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情」から、「特定の相手～」に。【相合傘（あいあいがさ）】は「一本の傘を（相愛の）男女が一緒に差すこと」の「男女」を「二人」とした。
吉村さんは「世代の異なる編集委員で葛藤や対立もあった。今回は編集サイドも特に、多様な世代、性別で意見を交わした。世代が違えば、言葉の語釈も違う。採録の基準は、『今』をとらえながら最低10年は定着する言葉」と振り返った。
広辞苑も岩波国語辞典も…「踏み込まないと」
言葉の解釈を模索しているのは、ほかの辞書も同じだ。
岩波書店の「広辞苑」は18年に改訂。「特に、男女間の思慕の情」としていた【恋】を「（特に男女間の）」と改め、性別を限定しない意味で括弧に入れた。【愛する】【恋愛】なども直した。
19年改訂の「岩波国語辞典」も同様にしたが、編集者の一人、赤峯裕子さんは、「『変わっていない』と読者におしかりも受けた」。その後に改訂された他社のものと見比べ、「うちも踏み込まないとダメだと感じている。言葉は時代で移り変わっていく。編集部の仕事に終わりはありません」と言う。
「旺文社国語辞典」は第11版の刊行が13年。同社は「ジェンダー問題への社会の意識が大きく変わってきていることは明らかで、見直しは今後の課題」とする。
「新明解」と同じ三省堂の「三省堂国語辞典」は、14年に第7版で手を入れた。「世にもまれな美人」「すごい美人だ」など、「男性目線で書かれた」七つの用例を書き換え、「7人の美人が消えた」と話題になった。
国語辞典編纂（へんさん）者で同辞典の編集委員でもある飯間浩明さんは、「辞書は誰が読んでも違和感なく、納得できるものにしたい。そうすると、今の時代はジェンダーはもちろん、立場が異なる少数者の視点も持たなければ、辞書の説明は書けないと痛感している」と話す。
三省堂国語辞典の生みの親、見坊豪紀（ひでとし）さんは第3版（1982年）で、「辞書は『かがみ』である。ことばを写す『鏡』であり、ことばを正す『鑑（かがみ）』である」と記している。
たまひよは「主人」「旦那」使わない
ジェンダーをめぐる表現は、さまざまな現場で変化を見せている。