５８歳の俺が勇気を出してソープで童貞卒業する決心をした。　気をつけることとか教えろ

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASNDC44R8ND7UCVL00V.html

30歳、童貞、魔法使いのBLドラマで世界へ　赤楚衛二

英語やタイ語、中国語、韓国語――。BL（ボーイズラブ）ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」で純情な主人公、安達清を演じた赤楚衛二さんのもとには日々、世界各地のファンから、コメントが寄せられる。地上波でBLドラマを放送する意義について語ってくれた。

　「外国の方からのコメントがすごく多くて驚きました。どちらかというと日本語の方が少ないくらい」。主役を演じるテレビ東京の深夜枠ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」への反響を聞くと、こう言って目を見開いた。
　ファンから「チェリまほ」と呼ばれて愛されるこのドラマは、恋愛経験ゼロの安達清（赤楚）と人気者で仕事もできる会社の同期・黒沢優一（町田啓太）との恋物語。原作は同名のBL（ボーイズラブ）漫画だ。30歳まで童貞だったことから魔法が使えるようになる、という設定の主人公役への出演オファーを聞いたのは自身の26歳の誕生日。

　「30歳で、童貞で、BLで、しかも魔法って衝撃の4連弾でどんな作品になるんだろうって思いました」と笑う。だが、渡された脚本を読んで、「なぜ安達が黒沢を好きになるのかすごく丁寧に描かれていて本当に幸せな気持ちになった」という。

　撮影が始まるまでの準備期間は、サラリーマン役が板につくよう2週間にわたってスーツを着て街を歩いたり、人に対して恐怖を抱いていた安達の気持ちの変化する過程を一つ一つ考えたりして役作りをした。猫背の安達の姿勢なども研究したため、「なんでか僕もわからないくらい（映像では）小さく見えますよね」。クランクインしてからは、町田や風間太樹監督らと撮影の前に控室で話し合い、キャラクターのその時々の感情を確認していった。「そうやって共通認識を作っていったので映像にも、良い空気感が映ったのではないかと思います」
　放送が始まると直後からSNSなどで話題になり、ツイッターでトレンド入り。ドラマは東南アジアや中華圏など海外でも配信が決まり、自身のSNSアカウントにも海外ファンからの外国語のコメントが殺到するようになった。「人を思う気持ちは国境を超えても変わらず伝わるんだと改めて感じました」

　黒沢役の町田とは、エレベーターで「壁ドン」をするなど「黒沢・安達ごっこ」をしたり、妄想話で盛り上がったり。「終わるのが寂しくなるくらい楽しい現場でした」という。

　日本では地上波のテレビドラマで、過度なコメディーなどではなく男性同士の恋愛が描かれることは少ない。今回、BLドラマを演じた意義を聞くと、「今まではマジョリティー（多数派）がすべてみたいなところがあったと思うんですけど、世の中的にみんなが生きやすいようになっていく中の作品。みんなが幸せになれればいいと思います」と言葉を丁寧に選びながら話した。

　名古屋出身。言語学者の父の仕事のため、3歳まで米国ウィスコンシン州で過ごし、帰国後も父から厳しくたたき込まれた英語は今も得意だ。SNSにも時折、海外のファンに向けて英語で投稿する。

　演技には、「突き詰めて考え続ける」苦しさもあるが達成感が上回ると感じている。監督の「オッケー」という声がよかった時やクランクアップの瞬間、見た人が「楽しかった」と言ってくれた時。「物作りやっている人にしかわからないすごい幸せな瞬間があって、そのために生きているところがあります」

　撮影中は、「情報を全く遮断したくなる」という。ただ、今は次作に向けた準備期間。「もっと深い考えに行き着きたい」と哲学書を読みあさっているという。特にはまっているのはニーチェ。哲学全集など歴史的背景を解説した本も読んだといい、実存主義という概念が当時の社会に与えた影響なども調べた。「概念をひっくり返した男で、ニーチェすごいなって思いましたね」と笑った