父親（社長・46歳）「父さんな、女性として生きていこうと思うんだ」

“女性として生きたい”、そう決意した父親。

「子どもらの気持ちを無視してまで、私はもう自分のメンタルを保っていけなかった」（千尋さん）
「いいパパで、いい夫なのに女性っていったところの、あまりの落差の激しさが・・・」（元妻 博子さん）

互いに傷つき、ぶつかり合い、そして離ればなれに。それでも…

「いただきまーす！乾杯！」（一同）

SDGs17の目標の一つ『ジェンダー平等を実現しよう』。新たな形で再出発した家族の姿を見つめました。

京都市内に住む今西千尋（いまにし・ちひろ）さん、55歳。

「一番こだわっているのは季節の質感ですかね。季節によってメイクをちょっとずつ変えているので」

千尋さんは心と体の性が一致しないトランスジェンダーで、7年前に性別適合手術を受け、女性となりました。

「私がこういう人生を歩む中で、第一歩を踏み出したお稽古事がメイクだったで、思い入れは強いですね」

千尋さんは、京都府内で代々続く鉄工所の長男・文彦（ふみひこ）として生まれました。しかし、6歳の頃から自分の性に違和感を覚えるようになります。

「最初にお姉ちゃんの服を着たのは、実家の押入れの奥に空間があって、そこにこっそり入って（お姉ちゃんの服を）着てた。こっちのほうが本当はしっくりくるのにな、みたいな」

誰にも相談できず、違和感を抱えたまま、26歳の時、家業を継ぐため実家の鉄工所に入社。その2年後、会社を経営していた博子さんと出会って結婚し、2人の子宝にも恵まれました。

しかし、結婚10年目を迎えたある日。

「私のタンスから女性用の下着が見つかって、問い詰められてそのことを話すことになったんです。第一声よく覚えているんですよ。“あなたは結婚詐欺師ですか”って言われました」（千尋さん）

（以下略