【五輪】安倍首相辞任　背景に東京五輪“中止説”で気力なくなる?

（悲願の開催へ/1年延期主導/）　安倍首相の政権運営への情熱が衰えた背景に、東京五輪が影響しているとの見方もある。自民党関係者によると「8月に入り、首相が来年の五輪開催が極めて厳しくなったと聞いたとの噂がある」という。悲願の五輪開催が遠のき、闘病しながら残り任期を全うする気力がなくなったとの臆測が広がっている。
東京五輪は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延期。5月には国際オリンピック委員会（IOC）のコーツ調整委員長が「開催可否の判断は10月が重要なタイミング」との見解を示したと報じられた。その後、大会組織委員会が報道を否定したが、コロナ収束には程遠い現状から、1年後の開催を疑問視する声は日に日に高まっている。

五輪開催は、安倍首相の悲願。IOCの総会で「復興五輪」を強調した演説で招致を呼び込んだ。16年リオ五輪の閉会式ではスーパーマリオに扮して4年後の東京大会をアピールした。今夏の開催に暗雲が漂い始めると、2年延期に傾く組織委などを制して1年延期を主導。自身の任期中に開催したいとの思いを隠さなかった。

五輪関係者は「首相の辞任が開催に与える影響は大きい」との認識だ。延期を巡る追加費用は最大約3000億円ともいわれている。ポスト安倍の最右翼は菅義偉官房長官。「開催に安倍首相ほどの情熱があるかは不透明」（五輪関係者）との懸念もある。

安倍首相は会見で、五輪開催について「IOCや組織委、都と連携をしながら準備を進め、開催国の責任を果たしていかなければならない。次のリーダーも当然その考えの下、（開催を）目指すと思う」とクギを刺した。

首相辞任を受け、関係者に衝撃が走った。日本オリンピック委員会（JOC）の山下泰裕会長は「事実だとすれば残念。マスコミで言われているように体調が悪かったのかな」と惜しんだ。五輪への影響を問われ「まだ分からない。ただ、これは国家的なプロジェクト。基本的方針は変わらないのではないか。でも分かりません」と不安をのぞかせた。

スポニチ　2020.8.29
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