カッカッカッカッカッカッカッカッカッカカロットォ・・・・・・・

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14567887.html

チョコの向こう、児童労働なくせ　日本のＮＧＯ支援で撲滅地の認定制度

おいしさはもちろん、健康効果も注目されるチョコレート。実はＳＤＧｓ（エスディージーズ）（持続可能な開発目標）が達成できるかどうかに深くかかわっています。児童労働や強制労働をなくす（目標８）、責任ある生産と消費を実現する（目標１２）。ＮＧＯもメーカーも、生産地に合った支援を模索しています。

　■９０万人超が従事、カカオ産地・ガーナ

　チョコレートの原料、カカオ。日本が輸入するカカオの約８割はアフリカのガーナ産だが、その栽培には９２万人ともいわれる児童労働の問題が横たわっている。そうしたなかガーナ政府は今年３月、子どもたちを学校へ通わせてその後も見守る活動が機能し、貧しい家庭への支援など自治体の施策が定着している地域を「児童労働のない地域」（ＣＬＦＺ）として認定する制度を導入した。

　実はこの制度のベースになったのは日本のＮＧＯ「ＡＣＥ」（本部・東京）の活動だった。

　代表の岩附（いわつき）由香さんと事務局長の白木（しろき）朋子さんが大学生だった１９９７年、児童労働に反対する世界的な市民行動に加わったのが出発点。「遊ぶ、学ぶ、笑う。そんなあたりまえを、世界の子どもたちに」を目標にガーナとインドで活動する。

　ガーナでは欧米の大手企業などの支援が届かない地域に、２００９年から本格的に入り込んだ。子どもが働くのは当然とされ、両親もそうして大人になっていた。そこで現地のＮＧＯと一緒に子どもが教育を受けるメリットを村長に説き、理解者を増やしていった。意識を変えてもらうことに重点を置きながら、学用品の支給や、農家の収入を向上させる支援も併せて実施。２州１０の村で、５５５人の就学を実現してきた。

　そのうち８村では、住民による「子ども保護委員会」と、子どもたち自身が将来を描く「権利クラブ」の活動が根づき、ＡＣＥが直接の支援活動を停止できるまで状況が改善。「点」で上がった着実な成果がガーナ政府から評価され、国という「面」で児童労働をなくすＣＬＦＺの制度づくりにつながった。

　日本とガーナを何度も往復した白木さんは「ガーナが児童労働のない国になれば、各国の企業がそれぞれ児童労働がないようにお金をかけて調達を工夫する必要もなくなる。その費用をプールして、もっと効果的な支援もできる。児童労働を根こそぎなくしたい」と話す。

　こうしたＡＣＥの活動を支えているのは、日本の企業と消費者だ。森永製菓からのバレンタイン期間の売り上げを通じた寄付により、活動の規模は３倍に広がった。また、映画や動画、書籍を通じたＡＣＥの発信は特に若い世代に響き、児童労働や途上国との貿易の問題を文化祭のテーマに選ぶ高校生も増えている。

　■企業も協働、責任ある生産へ

　原材料や資材の調達先で環境破壊や人権侵害がおきていないかどうかを、商品をつくるメーカーなどが調べて対応することは近年、「責任ある企業活動」の条件になっている。

　業務用チョコレートの製造で世界３位の不二製油グループ（本社・大阪）は６月、カカオとパーム油の調達について、目標値を盛り込んだ新方針を発表した。カカオでは２５年までに人身取引などの「最悪の形態の児童労働」をなくし、３０年までには児童労働の撲滅を目指すという。

　チョコレートをなめらかにするパーム油は、原料のアブラヤシを栽培するインドネシアやマレーシアで、森林を破壊して農園が作られ、労働者への人権侵害も問題になっている。新方針では３０年までに農家をすべて把握し、森林破壊を防ぎ、取引業者で働く人たちの権利が守られるように対応するという。

　海外の状況を１社で変えるには限界があるため、今年１月には国際協力機構（ＪＩＣＡ）の呼びかけで「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」が設立された。関係企業にＮＧＯや研究者も協力し、課題解決を進めていく。これまで１９社と４２の団体・個人が参加、ＡＣＥと不二製油グループも加わっている。

　ＪＩＣＡは９月からガーナの３０の村で、ＣＬＦＺへの支援と調査を始める。プラットフォームの活動とも結びつけながら、流通するチョコレートが児童労働と無縁となる日を目指し、動き出している。（編集委員・北郷美由紀）

　■現地農家に農法伝授、学用品もサポート　明治・松田克也社長

　「経営の根幹は、事業活動を通じた社会課題の解決」という明治の松田克也社長（６２）に、ＳＤＧｓの取り組みを聞きました。

　――看板商品のチョコレートの主原料はカカオです。栽培する農家の貧困や児童労働が問題になっています。