【話題】 コロナ感染や重症化予防に日本脳炎ワクチンが有効・・・国内の２０代と６６歳以上の半数以上は未接種

帯広厚生病院や帯広協会病院での勤務経験がある、江戸川病院（東京都）麻酔科副部長の大林俊彦医師（５９）は、
新型コロナウイルス感染や重症化予防に、日本脳炎ワクチン接種が役立つ可能性があると指摘している。

日本を含めアジアのワクチン接種国で死者は少ないが、未接種者が多い北海道で感染は広がったと説明。
関連性を明確にするため、重症者のワクチン接種歴を調べるよう国に求めている。大林医師にワクチンが効くメカニズムや対策を聞いた

－日本脳炎ワクチンに着目したきっかけは。

２００３年の重症急性呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）流行時に、東大病院集中治療部の責任者として自身や同僚の命を守るため必死に情報収集を続けた。
死亡率は中国（７％）に比べ、香港（１７％）やカナダ（同）で高かった。

また、子供たちの重症化が香港では見られた。香港やカナダにはなく、中国で定期接種しているワクチンは日本脳炎であることを見つけた。
そして１７年後、新型コロナでもワクチンを接種している日本や中国、韓国、ベトナム、台湾などは欧米に比べ感染者や死者が少ないことに気づいた。

－日本では高齢者と若者の感染が目立つが。

国内での日本脳炎ワクチン発売は１９５４年で、それ以前に生まれた６６歳以上の半数以上は未接種。
高齢者が重症化しやすい新型コロナ感染に影響している可能性がある。

２０代の感染者が多いが、これは日本脳炎ワクチンの切り替え期間と重なる。

２００４年にワクチン接種した中学生が重症となり、新たなワクチンが完成するまでの５年間、全国で事実上見合わされた。
１９９５年度からは集団接種から個別接種に変わり、２０代は半数以上が十分なワクチンを接種していないとみられる。

－北海道で感染が広がっているが。

新型コロナウイルスのＳ型は２０１９年１２月から２０年１月には既に国内に流布され、インフルエンザウイルスと競合し、
インフルエンザ様患者が激減したとされている。しかし北海道だけは異なり、年明けにインフルエンザ様疾患の定点観測値が上昇した。
この中に、多くの新型コロナ患者がいたと推察される。日本脳炎ワクチン未接種が要因の１つと考えられる。

また、道内では新型コロナ感染者が多い地域ほど、幼稚園児だけはインフルエンザ様症状を示さなくなった。
北海道での日本脳炎ワクチン接種は、２０１６年から３歳児を標準に始まった。ワクチン接種済みの幼稚園児は、感染しても発症しなかったのでは。

－今後求められる対策は。

普通感冒コロナの細胞性免疫が新型コロナにも効き、その土台を作るのが日本脳炎ワクチンだと考えている。
政府には、新型コロナ重症者が日本脳炎ワクチンをいつ頃接種していたかを調べてほしい。
結果によっては、緊急的にでも医療従事者自身の判断での接種を検討してもいいのでは。
https://kachimai.jp/article/index.php?no=20201214111458