松岡修造「東京五輪は今だからこそ心を一つにするチャンス。必ずできる。五輪は開催都市の文化や考え方を世界にアピールできる」

今こそ熱く、心一つにするチャンス　日本の応援団長、松岡修造さんの思い
1/1(金) 12:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/e421abb3b35f15a3d239e038478a6befc6fc9847

２０２１年も猛威を振るうであろう新型コロナウイルス。
昨年は国内の感染者が２０万人を超え、多くの人々が命を落とした。
東京オリンピック・パラリンピックは延期となり、仕事や居場所を失う人もいるなど影響は多方面に及んだ。
黒い雲に覆われたようなつらい時代だからこそ、心を温かくしてくれる「応援」の声が聞きたい。
「日本の応援団長」と呼ばれる松岡修造さん（５３）は
「人は一人では生きていけない。誰かに支えられたい、誰かを支えたいという両方の思いがある」と語る。
コロナ禍がもたらす人々の「分断」を乗り越え、あしたへの一歩を踏み出すための「励ましの詩（うた）」を紡ぐ。
【井川諒太郎、南茂芽育、川村咲平】

◇人は一人では生きていけない。誰かに支えられたい、誰かを支えたいという両方の思いがある

――「応援」で真っ先に思い浮かんだのは松岡さんです。今この時代、なぜ応援が大切だと思いますか。

時代と関係なく、僕のテーマは「応援」です。死ぬまでそうだと思います。
人は一人では生きていけない。やはり誰かに支えられたい、誰かを支えたいという両方の思いがあるわけです。

応援の力に気づいたのは１９９５年のウィンブルドン選手権でした。
３回戦の相手は格上。あと数ゲームで終わりという状況で、心の中で「負けた」と感じた。
すると「修造、自分を信じろ」と日本語が客席から聞こえたんです。
そこで「まだ終わっていないんだ」と気づかせてもらい、勝って８強入りできた。
自分が作った限界が、他の人の応援によって広げられていく。それが応援の力です。

――コロナ禍で世の中に閉塞（へいそく）感が漂っています。今、どんな応援が求められていると考えますか。

難しいなって思います。「頑張れ」といっても、みんな頑張っている。偉そうなことは言えない。
取材で各地を訪ねて感じたのは、コロナは人間にとって一番大事な「情熱」を奪うということ。
不安が続けば心も行動も閉ざされる。ただ、不安を解消できる行動を取れば前向きになれるんです。
マスクを着け、３密を避け、ＰＣＲ検査を受ける……。それを伝えていくことが応援の形なのかもしれません。

――東京オリンピック・パラリンピックは１年延期されました。どう応援しますか。

（各種世論調査でも）コロナ禍の中での開催については厳しい意見も多い状況ですが、
僕は、今だからこそ心を一つにするチャンスだと感じており、必ずできると信じています。
緊急事態宣言の頃には「何をモチベーションにすればいいのか」との声も選手にはありました。
選手も不安を抱えています。だからこそ開催が決まったら、全力で応援します。

競技の勝ち負けもありますが、五輪の魅力は開催都市の文化や考え方を感じられる、
または世界にアピールできることです。こう捉える人が増えれば、支える側、見る側の人たちも自信を持ったり、
新たにチャレンジする勇気を得たりと、付加価値をもらえる。そんな舞台を作り上げるのが僕の使命です。

――誰かを応援する人に対して、アドバイスはありますか。

僕の場合、応援は自分のためにしています。自分が人の応援をしている時はその人の気持ちになれる。
めちゃくちゃ前向きな行為なんです。
他者への応援が自分にとっても大事なことだと気づけば、熱くなったり大声を出したりできる。
自分なりの熱さを作り上げることにこだわってほしいと思います。
応援を通して、みんなで心を一つにできたら最高でしょうね。

――読者へのメッセージを。あしたへの一歩を踏み出すためにはどうすれば？

一番の特効薬は笑うことでしょうね。笑いながら怒ったり、弱気なことを言ったりしている人はいません。
口角を上げれば自然に前向きになれます。

毎日新聞の読者であれば「毎日金メダルスマイル」の感覚でしょうね。
本物の金メダルは勝負に勝って手に入れますが、金メダルスマイルは毎日取れる。
笑顔になれば、みんなが前向きになれます。（インタビューは２０２０年１２月１５日）

震災やコロナが起きると買い占めに走ったり、ハロウィンで軽トラを横転させる文化か