高齢の父に暴行、死なせた疑い　49歳無職の男逮捕　大阪府警8回出動も事件か見送る「もう暴行しない」と誓約書まで書かせたのに

高齢の父親に暴行を加えて死亡させたとして、大阪府警は8日、同府高槻市野田1の無職、植村清程（きよのり）容疑者（49）を傷害致死の疑いで逮捕した。府警高槻署は事件前の約2カ月間に計8回、近くの住民から通報を受けて自宅を訪れたが、事件化は見送っていた。

逮捕容疑は2020年7月上旬～同21日、高槻市内の自宅マンションで、同居する父三朗さん（当時78歳）の尻や胸に何らかの暴行を加え、出血性ショックで死亡させたとしている。「していません」と容疑を否認している。母親が21日夜に110番して発覚した。

　三朗さんは胸の骨が10カ所近く折れ、一部が肺に刺さっていた。右半身にまひがあり、植村容疑者と母親が介護していたという。

　府警によると20年5月上旬、近くの住民から「叫び声がする」などと通報があり、高槻署員が訪問。三朗さんの手足にけががあり、植村容疑者が「頭を数回たたいた」と話した。署は植村容疑者に「もう暴行をしない」と誓約書を書かせた上で、高齢者虐待防止法に基づき市に通報した。

　その後も、住民からの通報は7月上旬まで相次いだが、植村容疑者は暴行を否定し、三朗さんも「自分で転んだ」などと説明。被害届も出さなかったため、立件しなかったという。府警人身安全対策室は取材に「対応に問題はなかった」と説明。市福祉相談支援課は「個人情報なので答えられない」としている。
https://mainichi.jp/articles/20210208/k00/00m/040/127000c